古代アゴラでとける謎

中学校か高校かで、ギリシア建築の様式を習いました。
ドーリア式とかイオニア式とかコリント式とか‥‥‥

実物を目の前にすると、
そんな名称憶えたって意味なかったな、って気になります。
それより気になることがある。
口にすると莫迦にされそうで云えませんが‥‥‥
うーん、どうしよう、
でも云わなければ話つづかないし‥‥‥
というわけで白状しますが、
ギリシア建築でずっと謎だったことがありました。

屋根です。

教科書や観光本にのるギリシアの神殿‥‥‥どれも屋根がない。
古代ギリシアの建築物には屋根がなかったのだろうか?

旅のあいだ、ギリシアはずっと晴れでした。
雨の少ない土地ではあります。
降水量は日本の5分の1
だから屋根いらないのかな?
それとも神々はオリンポスの山上だから、声とどきやすくしたのかな?

アテネの朝はひともまばらです。
早起きして、アゴラをめざしました。

まず、ローマン・アゴラ。
こちらはローマ時代の比較的新しい遺跡、

塔に刻まれた8体の風の神が有名です。
おめあての古代アゴラも、

少し迷いましたが発見できました。


アゴラとは古代の市場のこと、
アクロポリスのふもとに広がる、商いの広場でした。
神殿付属商店街、ってとこでしょうかね。
政治や哲学もここで語られました。

もっともアクロポリスとちがって、外国人にはあまり知られていないみたい、
人影はまばらで、かわりにカササギがめだちます。

カメものんびり草を食んでいました。文字どおりギリシアリクガメ、ってやつでしょうか。

この古代アゴラには小ぶりの神殿が残っています。
ゼウスの子分で、鍛冶屋の神さまだったヘパイストスを祀ったといわれていますが、

見あげたら‥‥‥屋根がある。
なんだ、あるじゃんっ!!!
あとで調べたら、国中でこの神殿が一番損傷少なかったんですね。
だからいの一番に復元作業をおこなった。
当然のごとく、屋根はあった。初めからあった。

そうか、そうか、屋根はあったんだねぇ。
あたりまえだよね、日光暑いよね、虫はいるよね、たまにゃ雨だって降るよね。
ただ重たいから、長いあいだにみんな落っこっちゃったんだ。それだけだったんだ。

ちなみに古代様式をモチーフにした現代の建物には、みんな屋根付いています。
なきゃ、いられませんよね。
古代だって、おんなじです。
かくて、60年来いだいてきたおバカな疑問は氷解しました。
めでたいというか、くだらないというか‥‥‥

それにしても、美しい建物です。
屋根がとても似合います♪
しかし、落ちた屋根の遺跡は見た事がありません。
説明を受けた記憶も無し。
修復が可能な新しいものだけ復元したという訳ですね。
こちらも長く解けなかった疑問が漸く解決しました。
しかし、屋根が落ちる時に柱も無事では済まなかったと思うのですが。
古代の出来事は疑問が多いのが魅力ですね。
謎は氷解しました。でも、同じ疑問を持った方もいらっしゃったと知って、少し救われました♪
何ごとも、疑問をもつことから智慧はうまれるのでありまして‥‥‥でも、も少し考えればわかったはずかも。自嘲です。
屋根のある神殿を堪能ください♪