美保神社とエビスさん
エビスさんは、人気のある神さまです。
「七福神を全部あげよ」‥‥‥なんて、よくあるクイズですけれど、
エビスさんを忘れる方はまずないでしょう。
エビスの起源はよくわかりませんが、海、漁業と結びついていることは間違いありません。
地方によっては、発見された水死体を「エビス」と呼び、縁起ものとするところもありました。
島根県の美保神社は、そのエビスさんの総本家にあたるところ。
公式にはここの主神はミホツヒメとコトシロヌシ。
このコトシロヌシがエビスさんということになっています。
コトシロヌシは、変な神さまです。
『古事記』では、国譲りをせまられたオオナムチが地上世界の全権大使としてこの神さまを指名するのですが、
「まぁ譲れって云うんだから、譲ってよろしいんじゃないんですか」
なんて無責任な感想を述べ、乗っていた船を自分で沈めて雲隠れされてしまう。
結果、地上は天孫族に征服されてしまうわけですから、ずいぶん頼りないお方だと思います。
もともと大和は葛城の古い神さまでありました。
このコトシロヌシがエビスさんと合体したのは、おふたりとも釣りが好きだったから‥‥‥
たいした共通点ではありませんが、この程度で全国区の人気者になられたわけですから、コトシロヌシにとってはラッキーだったかもしれません。
さてこの美保神社、大変美しい神社ですが一風変ったスタイルをしています。
本殿の基本は出雲大社と同じ大社造ですが、なぜかツイン仕様になっている。
祭神がふたりだから、というのはあまり理由になりません。
変っているといえばこの黒い幟もあまり見かけない、
というより初めて。
戦国時代に迷いこんでしまったような、勇壮な雰囲気がいたします。
出雲にきたら美保神社にもお参りするのがよろしい、そういわれます。
大社だけでは「片参り」になるのだとか。
まぁ、そんなご意見は別として、確かに一見の価値のあるお社ではありました。
で、‥‥‥
出雲大社には行った事がありますが、この神社は知らなかった。
荘厳な佇まい。
いつか行ってみたい所の一つになりました。
上方では、恵比寿さんの人気絶大ですよね。
大きな神社ではありませんが、なかなかよい雰囲気のお宮です。行ってよかったな、と思いました。
雨もよいの日だったせいもありますが、ひとの少ないのもよいですね。
当日は、ドイツ人らしき観光客の一団が来ていましたが、お行儀よく丁寧に参観していただいて、なにか嬉しい気持ちになりました。