鎌倉名越切通し
今風の感覚からいえば、コンパクトな自然につつまれた観光地‥‥‥
鶴岡八幡宮を中心とした神社仏閣のテーマパークといってもよいでしょうか?
近いし、うちのお墓もあるし、自宅の延長のような親近感をずっといだいてまいりました。
先日ふとした気まぐれで名越(なごえ)の切通しを歩いてみました。
ご覧のように道といってもいかにも心細い登山道のような路ですが、江戸時代まではさかんに使われたとか。
鎌倉にはこうした古い要路が7つあり、俗に鎌倉七口と呼ばれております。
名越切通しは、その逗子とをむすぶ道でした。
いまではトンネルができ、鎌倉=逗子間はアクセルひとふかしの距離となりましたが、かつてはこの路をたどらなければ着けなかった、云わば物流の動脈です。
なのに道をふさぐこの石はなにっ!
と、思わず叫びたくなってしまいますが、これは鎌倉が軍事都市であったということを考えればなんとなくわかる。
つまりこれは行路妨害‥‥‥騎馬の大軍が一気に攻めよせるのを防ぐ仕掛けであったようです。
もっともこれだけ細くて険しい道なので、そうでなくとも馬は一頭ずつしか通れませんし‥‥‥
それも乗らずに轡をひかなければならなかったと思われます。
往時の鎌倉は、観光テーマパークなんかではさらさらなく、純粋な政治と軍事の拠点だったのですね。
いかにも掘削しました、というこの隘路をぬけるとすぐむこうは逗子‥‥‥切通しはここで終わりです。
この日はちょっと引きかえし、布張山を越えて杉本寺にむかうハイキングコースをたどりました。
高台の展望台からは鎌倉の全貌が見わたせます。
三方を山に、正面を海にかこまれた軍事都市の地形がご覧いただけたかと思います。
四神相応の京や江戸とは全く異なった思想のもとにつくられた都市だったのですね。
山は深く、鶯が澄んだ囀りをきかせ、托卵をねらうのか不如帰の声も聞こえます。耳をすませばかたかたかたと啄木鳥の木をうつ響き‥‥‥
気を抜くと遭難だってしかねないような山道ですが、
ときに石仏や道祖神がやさしくお迎えしてくれます。
山を降りると滑川(なめりかわ)‥‥‥材木座にそそぐ清流です。
小母さんたちがわいわいはしゃぎながら覗きこんでいるので立ちどまると、
大きなシマヘビがスウィミング中でした。
そしてこれが今の鎌倉‥‥‥うーん、やっぱりこれは観光地‥‥‥でしかないか。
西岸良平さんの作品ですが、妖怪が良く出てきます。
京都でも妖怪通りが有ったり、物の怪が跋扈した時代を反映する街並があります。
鎌倉も古い街、漫画の様な妖気漂う様な場所はあるのでしょうか?
奈良では吉野がそれに近いと思います。
話は違いますが、最近は次世代エネルギーが話題になりませんね。
原発に代わるものを早く作り上げないといけないのに。
研究と資力を集中すれば道は開けると思うのですが。
一か所お化けの出るトンネルはありますが、このあたりではあまりその手の名所はききません。お化け好きのわたしとしては少しもの足りませんが‥‥‥♪ちっちゃな谷ひとつにありがたいお寺や神社がぎっしりたてこんでいるので、よほどパワーがないと、でてこられないのかもしれません。
次世代エネルギーについては、同感です。政府に期待しても無理そうなので、やはり民間にそうした動きがでてきてもらいたいと思います。原発で失敗した企業こそ汚名挽回の好機だと思うのですが‥‥‥